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金のなる木の話 [<正統、明るいダメ母編>]


笠原十兵衛薬局に去年の11月初め頃「金のなる木」がやってきた。

まあ、寒くなる前に避寒にやってきたというところだろうか。



もともとどこにあったものかと言えば、出所はいかにも凍えそうなM氏のところである。(^^;;

なんでも女の子たちが手入れするのが煩わしくなったとかいう口実だったが、実のところは金のなる木の力をもってしてもまったく金がならないビンボー神歯科医院に嫌気がさして、というか正直力負けして、すごすごと、まだましだと思われる薬局のほうへ逃げてきたと言う方が正しいのかもしれない。



見た目が一番立派なでん!としたのが一本と、薬局のショーウインドウの上にも充分置けるサイズのが三本。

まあ古いゲン担ぎ的に言えば、つごう四本というのも数が悪かったよね。



でん!としたのは図体ばかりは大きいが、下のほうの葉っぱが赤くなっていて、まあその赤くなった葉っぱの上で気丈にも今にも花を咲かそうとしているつぼみまである。

さすがM氏のところから来ただけあって、体力が落ちているのに出費ばかりがかさむ事をしようとするのは主を真似ているとしか言いようが無い。(^^;;



「金のなる木に花が咲くというのは珍しいんだよ。」とM氏が言う。

(言外に花が咲くまで大事にしてくれよって意味!)



「えっ?ってことは、花が咲いたらこれ死んじゃうの?」

「いや、それは竹の花の事だろう?これはそんなこと無いはずだぞ。」



M氏は知らない事をさもよく知っているように断言するので定評があるので(^^;;、ネットでよく調べてみた。

(あっ、M氏の専門については大丈夫。この限りではありません。( ^-^))



結局ネットでは事の詳細はあまりよくはわからなかったのだが、金のなる木は花が咲いたからといって枯れるというものではないようだ。

もともと生命力は強い木で、落ちたはっぱから直接根が出ていつのまにか大きな木になっているという話である。



ネットの山形の小学校だよりにこんな話が出ていた。「7.8月の暑い時期に一週間に一度それもちょっぴりしか水をやらないようにします。すると金のなる木は水ももらえず死にそうになったに違いない。そこで金のなる木は考えた。このままでは自分は死んでしまう。せめて自分の子孫だけは残したい。そう思って金のなる木は残っているありったけの力を使って花を咲かせ、実をならせて、種をつくろうとするのではないか。そうすれば自分の子供が出来るはずだ。」



「そう思って金のなる木が花を咲かせ始めた頃、校長先生が毎日水をかけ始めたことになります。すると、金のなる木は、きれいな花を咲かせた上に、死ぬどころか、このように毎日元気に育っているのです。

金のなる木は教えてくれています。死ぬ気でやれば、本気でやれば、なんでもできる。きれいな花を咲かせることができる、ということを。また、人間頑張る時期があって、その時に頑張らないと花が咲かないと言う事も。」



う~ん、校長先生のお話というのはみんなきっとこんな感じなのだろうが、久しぶりで接してみると紋切り型と言おうか、ちょっと無理やりっていう雰囲気だよね。



そのうち子供はみんな気づくんだよ。頑張ってもできないことがあるって事に。そしてその時頑張らなくても、頑張る時はいつかまた来るってことに。

でもそれは小学校の時代にはまだまだ知らなくてもいいことなのかもね。( ^-^)



おっと、またまたお得意の脱線ですみません。(^^;;



とにかくそうやって今まで、四本の金のなる木は一応笠原十兵衛薬局の一番日当たりの良さそうな古い店の前で余生?を過ごしていたのだ。



実は一ヶ月ほどたった頃に九子は気づいていた。

なんか葉っぱが余計赤くなってない?



赤い葉っぱ=元気の無い弱い葉っぱという公式が成り立つのかどうかすら定かではない九子だが、赤い葉っぱの下の地面には何枚か落ちてしまった落第組のはっぱも見える。



う~ん。日が当たるとは言え、ガラス戸一枚で暖房も無い。冬の長野は寒いからなあ。寒さに負けたのだとしたら、気の毒だなあ。でもまっ、いいか。この家にやって来たのが運の尽き。

それっきり九子は金のなる木の事などすっかり忘れて、何をやってやるでもなく何日かを過ごしていた。(^^;;



哀れ、金のなる木よ。何の因果で九子のところなんかへ来たもんだか・・。いくらビンボー神がのさばっているからとは言え、世話してくれるおねえさんの数の多い元の棲家でおとなしくしていた方が幸せだったのに・・。



ところが奇跡というものは起きるものである。

九子が買い物に行った時、それは起こった。



とあるホームセンターでの買い物帰り、入り口に近いところで九子の目が釘付けになった。

九子が見ていたのは3段重ねの緑色のパイプ棚。厚手の透明のビニールがすっぽりと覆っている。ビニールにはファスナーが付いていて簡単に開け閉め出来る工夫がされている。

そう。それは小さなビニールハウスだった。その上値段は2000円ほど!九子好みの値段。( ^-^)



これを買えばあったかくなって、金のなる木も元気になるに違いない!

九子はるんるん気分だった。

ああ、いい事するって気持いいねえ!



ここで間違ってはいけない。九子は単に自分の優しさに酔ってただけだ。

金のなる木の幸福を心から祈っていたわけでは無い。(^^;;





ホームセンターで安い棚買って喜んだ時はいつでもそうだが、家に帰ると組み立てっていう難事業が待っている。

でもまあ九子の場合、この手順は無いに等しい。「Mさん、お願い!」の一言でおしまい。( ^-^)



器用なM氏は瞬くうちに作ってくれるのだが、今回はちと様子が違った。安物ゆえキツく作られているせいか、「あっ」だの「うっ」だの「はっ」だの、うめき声にも似た低い声がいつにも増してはさまれる。



それでも30分ほどの間に綺麗に仕上がった。



「ああ、ちょうどいいねえ。」

「だめなんだよ、それが。ほら、真ん中に渡ってる棒があるせいで、一番大きいやつの頭が当たるんだ。」

「じゃあ、この棒をはずせばいいじゃん。はずれるんでしょ?」



M氏は渋い顔をした。訳はすぐにわかった。その棒をはずすためには、また最初からやり直しだったからだ。(^^;;





九子が次に呼ばれた時、気の利くM氏は棚の中に四本の金のなる木と、そこら辺にあったいつ花が咲いたのかも知らないシクラメンの鉢なんかも一緒くたにして、上手に並べてくれていた。



「わあっ、いいじゃん、いいじゃん!安くてサイズもぴったりの棚だったね。」( ^-^)

  (もちろんM氏の工賃などはタダ!(^^;;)





金のなる木はそれ以来、少々窮屈そうではあるがとりあえず温かい新しい住まいを得た。

あと一番の問題は、水が与えられるかどうかだけである。





山形の小学校の君達の仲間は、本気でやれば死ぬ気でやれば、なんでも出来ることを学習したそうだ。



ところが何の因果か長野のビンボー神歯科医院に来てしまった君達は、頑張っても頑張ってもビンボー神に邪魔されて金がならないという現実に直面し、世の中には頑張ってもどうしようもないことがあることを学習したはずだ。



頑張ってもどうしようもない事があるってことに絶望しただけなら、それに甘んじておとなしくビンボー神んとこにいるべきだった。それならば命の危険はとりあえず避けられたのだ。



九子の薬局に来てしまった君達は、水ひとつ満足にもらえない過酷な環境でサバイバルゲームを強いられている。

君達は知らないだろう、かつて 九子が枯らした花のことを。(^^;;



それでもけなげにつぼみをつけてる金のなる木よ。

春まで生き延びたなら、そして花が咲いたなら、みんなでお祝いしようぜー。( ^-^)


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ちゃら

[仲間だわ]
九子さん、私の別名はサボテンも枯らす女です。

どういう訳か、鉢の花が枯れてしまう。

時には水をやり忘れて、時には水をやり過ぎて、気がついた時には遅いがいつものパターン。

だけど、家には母がいて、この人、どんな花も咲かせてしまう。
だから、花をいただいたら、すぐに母に渡してしまう。
それが花にとって一番良い事だから。

九子さんの日記を読んでいて、私と似ているわと思わずにはいられませんでした。
by ちゃら (2010-01-29 16:36) 

お夕

[野性の証明]
九子さま、こんばんは。

校長先生のお話は、どんなにありがたい話より短いのが一番!というのが私の揺るぎない持論です。
いつも子ども以上に「早く終わってくれ~!」と、秘かに念じております。

我が家には猫の額どころか、アリンコの額(アリンコに額があるかは不明)ほどの庭があるのですが、いつも雑草が繁茂しています。
言い訳ではないのですが、(いや、十分言い訳か)自然体を目指しています。
というのも、我が家はどういう訳か、カエルにトカゲ、カナヘビ、カマキリ、クモ、メダカ、ヤモリという野性の小さきモノをこよなく愛しておりまして、できるだけそういう輩が近づきやすいように気を遣っております。(なーんて!)
今は冬ですので出会えないのですが、早く春になって再会したいものです。
特にカエルが大好きで、餌付けをしては喜んでおります。(九子さんの悲鳴が聞こえそうで、すみません)
綺麗に整備された庭もいいですが、雑草には雑草の良さもあり、「お前達も、子孫を残そうと地道にやってるな。がんばれよ。」と思ってしまいます。(やはり、除草作業が面倒ということが隠しきれてませんね)
by お夕 (2010-01-29 19:37) 

九子

[ちゃらさん!( ^-^)]
いえいえ、ちゃらさんとお仲間なんてとんでもない!
ちゃらさんは働き者のよく行き届いた方ですよ。( ^-^)

さぼてんだって、きっと水をやりすぎて枯らすんでしょ?
九子は本当に水をやらずに枯らすと思います。(^^;;

>だけど、家には母がいて、この人、どんな花も咲かせてしまう。
 いいお母様ですね。( ^-^)

うちも母がいた時は母に任せっぱなしでしたが、今じゃ一人なので、それでも少しは成長した・・・と思いたい。(^^;;

植物を育てるって難しいよねえ。( ^-^)
by 九子 (2010-01-29 22:06) 

九子

[お夕さん!( ^-^)]
>校長先生のお話は、どんなにありがたい話より短いのが一番!というのが私の揺るぎない持論です。

お夕さんって、子供に人気あるでしょう。子供の気持ちがよくわかってるもの。そしてもしかしたら、あんまり出世とかは眼中に無いタイプでしょうか。( ^-^)

>言い訳ではないのですが、(いや、十分言い訳か)自然体を目指しています。
これも又、素晴らしい!
野生の子供達が育つ庭ですな。( ^-^)

私はあんまり虫や爬虫類が好きでは無いのですが、草取りはもっと嫌いで、伸び放題に伸びて仕方なくしなくちゃならないときはなるべく彼らに会わない様に恐る恐るやってます。

オーストラリアの人の庭を写真で見たことがありますが、あちらの人がお夕さんと同じように自然体みたいですよ。( ^-^)

どちらにせよお夕さんとこの子供達、いい子になりますね。大いに期待しています。( ^-^)
by 九子 (2010-01-29 22:15) 

お夕

[ちょっと当たってるかも…]
九子さま

仰るとおり出世には全く、興味がありません。大当たりです。
そしてそういう器でもなく能力もありません。恐れ入りました。

子どもに人気?これはハテナです。私なぜか「生徒指導」なんかを担当しているモンで(明らかに反面教師)、「廊下走んな~!」「スリッパ揃えろ~!」の連呼、子ども達からは煙たがられているんじゃないでしょうか。

本校は田舎にありますんで、子ども達は放っておいても野生児です。
「せんせー、ヘビやでえ~」と驚かせるはずで持ってきたヘビちゃんに、私は悲鳴ではなく嬌声を上げるほうなので、やんちゃ坊主はちょっとガッカリみたいです。
でも必ず言います。
「いじめたらあかんぞ!ちゃんと逃がしたりや!」
どんな生き物も、学校では(家ではゴキブリにスリッパ攻撃ですが)大切にしたいものです。
by お夕 (2010-01-31 09:50) 

九子

[お夕さん!( ^-^)]
>仰るとおり出世には全く、興味がありません。大当たりです。

やっぱり!
いえいえ、単純に考えただけです。だって野心家タイプの先生なら、校長先生の悪口言わないもん。( ^-^)

なんかお夕さんの素顔がだんだん見えてきました。
お母さんにも子供達にも人気のある女教師のある意味理想タイプだと思うなあ。

いかにもなんでも出来そうな感じの女の先生って、ぎすぎすした感じで人気無いんだよね。

いかにも「スキあり!」みたいだけど、ちょっと助けてあげたくなっちゃうタイプの先生の方が絶対好かれると思うな。

それで実は一人一人の子供達をよく見ていてよくわかっている。

お夕さんって先生が天職だったかもしれないよね。( ^-^)

私は一応仏教徒ですので、ゴキブリのスリッパ攻撃は出来ません。
まずその前にキャーキャー言って逃げ出しますが・・。(^^;;
by 九子 (2010-01-31 17:31) 

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